利便性と安全性と専門性の間で 1

3月12日、規制改革会議が開催され、インターネットを経由してリアルタイムで見ることが出来ました。

 

以下、私の個人的な想いをつらつらと書かせて頂きます。

 

※長いので、2~3回に分けて記載します

  • 今回の指摘が「利便性と安全性」「コストと専門性のバランス」に焦点を絞って議論されていることから、このブログも金銭的な事ばかりに終始している感じがありますが、我々薬剤師は「患者様に最善の医療をお届けするために、その専門性をより発揮できる環境を望んでいる」という事は曲げようのない事実です。その点、何卒ご理解ください。

医師は、過去「薬師(くすし)」と呼ばれていました。

インターネットで検索すると、こんな記述があります。

 

薬師(くすし) - 日本における医師の古称。漢方薬の専門家であり、本草学に基づいた生薬による治療を行った。

(参照:wikipedia)

 

明治時代、西洋医学を日本に導入するため西洋から医者を招いた。このとき軍医を主に招いたのは明治政府が医師=士という考えを定着させようと考えていたためであった。また「医師」という呼称が用いられるようになったのは明治時代に入ってからである。それ以前は単に「医者」と呼んでいた。

(参照:wikipedia)

 

漢方の専門家である薬師に、西洋の医学知識・技術が導入されることで医術となり、名称も薬師→医者→医師となったと読み取れますね。

 

 

さて。医師の他の医療職の生い立ちも考えてみたいと思います。

インターネットで調べてみたのですが、残念ながら私の調べ方では目的の情報が得られませんでしたので、完全に私個人の憶測となりますが…

 

医師がまだ「薬師」であった時代、現在の看護師が担当する医師の指示に基づく外傷の手当などの仕事も、おそらく薬師の仕事だったのではと推察します。

しかし、西洋の医学が導入され、薬師(この時点では「医者」または「医師」でしょうか)の知識・技術ともにより広く深くなっていったことから、仕事量が増えて一人では何もできない。

そこで、現在で言う看護師、薬剤師、検査技師…と分化していったのではないかと。

間違っている場合は、笑って許して下さい。

 

 

ここで私は次のように考えます。

「分化するからこそ、その分野の専門家が生まれ、その分野がさらに成長を遂げる」

 

医師が薬師のままだったら、医師に求められる業務意外のものに手間と時間をとられ、今ほどの医業の発展はなかったでしょう。

また、医師から看護業務が独立して看護婦(現在は看護師)が生まれなければ、例えば手術後の専門知識に基づく手厚い看護は受けられなかったでしょう。

これらは、薬と薬剤師においても同じことが言えるのではないでしょうか?

 

分化と専門性については、何も医療職だけに言えることではありませんよね。

 

テレビの番組も同じ。

メインキャスターが、キャスターもしながらカメラを回し、音声を拾い、番組

開始前に大道具・小道具の仕事をして、差し込み映像の撮影・編集も行ってい

ては、番組は出来上がらない。

 

車を作るのに、ネジやボルトを作るところから、組み立て、塗装、制御するためのプログラム…全てを一人でやっていては、年に1台作ることすら難しいかもしれません。

逆に、それぞれの仕事を分担し、その専門性を磨くことで、より良い番組が作られ、よりよい車が開発される。

 

 そしてもう一つ。

薬師が、医師、薬剤師、看護師…と分化していった事、これはヒトの職業についての例ですが、企業体についても同じことが言えるのでは?

 

病院から調剤機能が分化したのが薬局。

病院から介護、軽微かつ長期入院設備が分化したのが介護施設。

(語弊があるかもしれません。ひとえに私の語彙力不足です。)

 

調剤機能が分化したきっかけは、ご存じの方も多いと思いますが、「薬漬け」と揶揄された時代があったから(詳しくはインターネット等でお調べ頂きたいと思います)かもしれません。

 

と同時に、薬剤師の夢でもあった…と聞いています。

患者様により適切な医療を届けるため、薬剤師の専門性を高めるためには分業が必要だったと。上で述べた「分化と専門性」の関係を考えれば、当然かもしれません。

 


 

さて、今のは処方せんを持つ「人」の流れですね。

処方せんの「施設」間の流れを見ますと…

今までは、「病院→外→薬局」でした。

外に出たことで、当たり前ですが病院の受付・診察室などからも遠くなります。

そこから先は、患者様の選ぶ薬局に処方せんが行くわけです。

病院の門を出て、すぐ目に止まった薬局でも良し、自宅近くのかかりつけ薬局でも良し。

 

もし、病院内に経営者は別といえど薬局があったら?

「病院」で終わりです。

「病院→薬局」ではありません。

私だって、受付で処方せんを交付されて横のブースに薬局があったら、寄ってみようかと思います。

かかりつけ薬局をお持ちでない方は、特にそうではないでしょうか?

となれば、「患者様の目に入る」という機会さえ他の薬局は奪われるのです。

この時点で、公平ではないですよね。

ですから、「病院→薬局」ではなく「病院」で終わり…ということなのです。

「院内に設置できる」というのは、薬局(経営)にとって破格の好待遇を意味するのです。

 

また、「経営上の独立性」もなくなります。

何しろ、家主(病院)と賃貸契約を結ぶわけですから。

例えば、今は無いと思いますが病院が薬局に対して「家賃はいくら出せますか?」というだけで、薬局間の競争が起こります。理由は、上述の通りどこの薬局であれ入りたくなるからです。そして、これらの状況は邪な取引が発生してもおかしくない状況だとは思いませんか?

 

「利便性と安全性と専門性の間で 2」へ続く

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